美しい海と青い空、南国のリゾートとして人気の沖縄。しかし、この地には私たちが決して忘れてはならない歴史が刻まれています。琉球王朝の誇り高き文化から、沖縄戦での民間人の悲劇まで。この旅では、観光地としての沖縄だけでなく、歴史の重みを感じる場所を巡ります。
現代の私たちの多くは、平和な時代に生まれ育ち、戦争の実態を知らないまま過ごしています。しかし、わずか約80年前、この美しい島は「鉄の暴風」と呼ばれる凄惨な地上戦の舞台となり、20万人を超える命が失われました。その中には、武器を持たない一般市民や、看護要員として動員された女学生たちも含まれていたのです。
この旅は、沖縄が辿ってきた歴史の道筋を、実際に足を運び、自分の目で見て、心で感じるための旅程です。琉球王国の栄華から沖縄戦の悲劇まで、この島の歴史を知ることは、平和の尊さを再認識する機会になるでしょう。
たった一泊二日のささやかな旅ですが、沖縄の持つ多層的な歴史と文化に触れることで、リゾート観光だけでは見えてこない「本当の沖縄」の一端に触れていただければ幸いです。
旅のプラン概要
※ルートは出来るだけ金額が掛からないルートになっています、時間に合わせてタクシーやレンタカー、レンタサイクルをご利用下さい。
【1日目】琉球王国の栄華を知る
- 那覇空港到着
- ゆいレールで首里駅へ
- 首里城公園
- 福州園
- 那覇市内のホテルに宿泊
【2日目】沖縄戦の記憶を辿る
- 対馬丸記念館
- レンタカーで南部へ移動
- 旧海軍司令部壕
- 沖縄県平和祈念資料館
- ひめゆりの塔(ひめゆり平和祈念資料館)
- 那覇空港から帰路へ
【1日目】琉球王国の栄華を知る
那覇空港到着
沖縄本島に降り立つと、まず感じるのは空気の違いでしょう。潮風に混じる亜熱帯の香り、空の青さ、雲の白さ。それらすべてが本土とは異なる「琉球」の地に来たことを実感させてくれます。
那覇空港からは、ゆいレールが市内各所へのアクセスに便利です。今回は、琉球王国の政治・文化の中心地であった首里を最初の目的地とします。
滞在時間にも因りますが、24時間券や48時間券が便利です、また他にも割引チケットなどあります。
- ゆいレール(24時間・48時間乗り放題)※購入から起算。
- タッチ決済(1日最大800円)※日付で起算。
首里城公園

所在地: 沖縄県那覇市首里金城町1-2
アクセス: ゆいレール首里駅から徒歩約15分
「首里城」は1429年、尚巴志によって琉球王国が統一されて以降、約450年間にわたり王国の政治・外交・文化の中心として機能した城です。朱塗りの鮮やかな建物は、中国の影響を受けながらも独自の様式を発展させた琉球建築の最高傑作と言えるでしょう。
2019年10月の火災で正殿をはじめとする主要建造物が焼失するという悲劇に見舞われましたが、再建工事が進められており、一部は見学可能です。首里城の歴史は、まさに琉球の歴史そのものであり、東アジアにおける国際交易の要として栄えた琉球王国の姿を今に伝えています。(2026年復元完了予定)
首里城の火災前の姿「首里城」
【歴史ポイント】
- 1429年:尚巴志が三山統一を成し遂げ、琉球王国の基礎を築く
- 1609年:薩摩藩の島津氏が琉球に侵攻(島津の琉球入り)
- 1879年:琉球処分により沖縄県が設置され、琉球王国が滅亡
- 1945年:沖縄戦で首里城は破壊される
- 1992年:首里城正殿などが復元され、「首里城公園」として一般公開
- 2000年:「琉球王国のグスク及び関連遺産群」としてユネスコ世界遺産に登録
- 2019年:火災により正殿など主要建造物が焼失
- 2026年:正殿の復元完了予定
首里城で特に注目したいのは、正殿前の広場から眺める那覇の街並み。かつての王たちも、この場所から自らの王国を見渡していたのでしょう。また、復元された歓会門や守礼門など、火災を免れた建造物からは琉球建築の美しさを感じることができます。
福州園

所在地: 沖縄県那覇市久米2-29-19
アクセス: ゆいレール県庁前駅から徒歩約10分
首里城から那覇市内へ戻り、次に向かうのは「福州園」です。この中国式庭園は、那覇市と中国・福州市との友好都市提携を記念して1992年に開園しました。
琉球王国時代、那覇の久米村には中国から渡ってきた人々が多く住み、独自のコミュニティを形成していました。彼らは「久米三十六姓」と呼ばれ、中国との外交や貿易の窓口として重要な役割を果たしていました。福州園は、そうした琉球と中国の深い歴史的つながりを象徴する場所です。
園内では、中国福建省の伝統的な建築様式や庭園技術が用いられており、池を中心とした回遊式庭園の美しさを堪能できます。琉球王国が中国(明・清)との册封関係を通じて育んだ文化交流の歴史に思いを馳せながら、静かな時間を過ごしましょう。
【歴史ポイント】
- 14世紀末:中国から久米村に「久米三十六姓」が移住
- 1392年:明朝が中山王(琉球国王)に册封を行い、正式な外交関係が始まる
- 1992年:那覇市と福州市の友好都市提携10周年を記念して福州園が開園
1日目のまとめ
琉球王国の栄華と国際色豊かな文化に触れた1日目。首里城で琉球の政治的中心地を、福州園で中国との深い文化的つながりを体感しました。琉球王国は、東アジアの海域で独自の地位を築き、日本・中国・東南アジアとの交易を通じて豊かな文化を育んでいました。
その平和な時代が終わりを告げ、琉球が日本に併合され、さらには太平洋戦争の激戦地となる悲劇の歴史は、明日の行程で辿ることになります。